「ハイスペック」は、英語の「high specification(高仕様・高性能)」を省略した和製英語に近い表現です。デジタル大辞泉や各種国語辞典の解説によると、本来はコンピュータや自動車、工作機械などの工業製品が「極めて高い性能・仕様を備えている状態」を指す言葉として用いられてきました。
これが人に対して使われ始めたのは、2000年代初頭のインターネット掲示板や合コン文化の台頭が契機とされています。バブル期の流行語であった「3高(高学歴・高収入・高身長)」がデフレ経済の進行とともに形を変え、恋愛や結婚の市場価値を製品の仕様になぞらえて「スペック」と呼ぶネットスラングが徐々に定着しました。
「人間を工業製品のように格付けするのか」という倫理的な批判は根強く存在するものの、現代のビジネスシーンや婚活の現場では、個人のポテンシャルや市場価値を多面的に表す便利なジャーゴンとして完全に市民権を獲得しています。現在では単なる外形的数値にとどまらず、教養、対人スキル、生活習慣の自立度までを含めた「人間力の上位層」を指す言葉へと意味の裾野が広がっています。