インターネット上の検索サジェストやSNSで散見される「伊良コーラ まずい」というネガティブな口コミ。この評価が生まれる最大の要因は、消費者が抱く「コーラ=甘くて爽快なジャンクドリンク」という固定観念と、実際の香味設計との間に生じる認知的ギャップにあります。
私たちが普段口にする大手メーカーのコーラは、主に果糖ぶどう糖液糖、カラメル色素、酸味料、香料(コカ・コーラやペプシの調合香料)で構成され、シャープな炭酸と均一化された甘みが特徴です。一方、伊良コーラはコーラの実(コラの実)をはじめ、カルダモン、ナツメグ、シナモンなどのスパイスを丸ごと煮出し、柑橘類の果汁と皮を贅沢に使用しています。
この製法により、口に含んだ瞬間に広がるのは、甘みよりも先に立ち上る「生薬特有のほろ苦さ」と「複雑な芳香」です。スパイス料理やハーブティー、クラフトジンなどを好む層からは「奥行きのある極上の味わい」と絶賛される反面、駄菓子や炭酸ジュースのようなストレートな甘さを期待した層からは「漢方薬の味がする」「湿布のような匂いがする」といった拒絶反応が生じる構造になっています。
つまり、「まずい」という声は品質の低さを意味するものではなく、徹底して自然由来の素材と手作りにこだわった結果として生じる、嗜好性の鋭さの証左といえます。