十和田湖「乙女の像」なぜ2人?高村光太郎の絶筆とモデルの真相を解明

十和田湖「乙女の像」なぜ2人?高村光太郎の絶筆とモデルの真相を解明

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十和田湖畔の波打ち際、高さ約2.1メートルの二人の裸婦が、触れ合いそうで触れ合わない絶妙な距離で右手を合わせようとしています。この不可思議な構図について、高村光太郎自身は当時の手記や言葉の中で「無限の対話」という概念を語っていました。

多くの鑑賞者が「二人は別人なのか、それとも同一人物なのか」と首を傾げます。美術史の研究や光太郎自身の証言を総合すると、この二体は「同一の存在が鏡のように対峙している姿」であり、同時に「自然と人間」「精神と肉体」「光太郎自身と亡き妻・智恵子の魂」の永遠の交感を表しています。

1938年、最愛の妻・智恵子を統合失調症と結核の末に亡くした光太郎は、耐え難い喪失感を抱え続けました。岩手県花巻の山小屋での7年間に及ぶ極限の独居自炊生活を経て、彼が最後に到達したのは「智恵子は死んで失われたのではなく、十和田の大自然そのものと同化して生き続けている」という確信でした。湖面に立つ二体の乙女は、互いを映し出すことで永遠の生命を獲得する、光太郎の祈りの結晶といえます。

中島 亮太
著者

中島 亮太

シンプルで洗練された住まいづくりとインテリアコーディネートのアイデアを提案しています。