無料配布されているミニキャラのポーズ素体を使ってイラストを仕上げ、同人誌の表紙や有償依頼、YouTubeのサムネイルに採用するクリエイターは少なくありません。しかし、現場では「無料=自由に使って金銭を得てよい」という致命的な誤解が蔓延しています。
文化庁が公開する著作権法の基本原則において、他者が描いたポーズのアタリや下絵であっても、そこに独自の創作的表現(頭身のバランス、手足のデフォルメ具合、表情のラインなど)が認められる場合、著作物として保護されます。配布元が「トレスOK」と許可を出している範囲は、多くの場合「個人が作画練習として私的に模写・トレスすること」に限定されており、販売目的のグッズ化やココナラ・SKIMA等での有償コミッションへの流用を許諾しているケースは極めて限定的です。
オンライン上でイラスト制作を請け負う20代のフリーランス絵師は、過去のトラブルを次のように告白しています。
「クライアントから『可愛いミニキャラでアクリルキーホルダーを作りたい』と依頼され、ネットで拾ったフリーの2人ペア素体をベースにキャラを描いて納品しました。ところがグッズ販売後、素材の原著作者から『商用利用は一切許諾していない。即座に回収し、販売利益の一部を損害賠償として支払ってほしい』とDMが届いたのです。発注者側にも多大な迷惑をかけ、示談金の支払いで半年分の原稿料が吹き飛びました。利用規約の『非商用限定』という一言を見落としていた代償はあまりにも重かったです」
商用利用の定義は金銭の直接的な受け渡しだけにとどまりません。収益化された動画プラットフォームでのアバター使用、投げ銭(スーパーチャット等)を受け取る配信画面でのサムネイル掲載、フォロワー獲得を目的とした企業公式アカウントでの投稿も、法的な解釈やプラットフォームの規約上「営利利用」とみなされる割合が年々高まっています。「知らなかった」では済まされない現実が、クリエイターの足元に横たわっています。