物語の結末をめぐる議論で頻出する「ハッピーエンド(ハピエン)」「バッドエンド(バドエン)」「メリーバッドエンド(メリバ)」ですが、その境界線はどこにあるのでしょうか。まず、ハピエンとバドエンの違いは、主人公や主要登場人物の目的が達成されたか、そして社会規範や読者の倫理観から見て望ましい状態に落ち着いたかどうかという「主客の一致」に基準があります。ハピエンは作中の当事者も読者も幸福を共有し、バドエンは双方にとって明確な悲劇や破滅として帰着します。
これらに対し、解釈の難易度が一段跳ね上がるのがメリーバッドエンド意味の核となる二面性です。メリー(Merry=陽気な、幸いな)とバッドエンド(Bad End=悲劇的結末)を組み合わせたこの造語は、メリバ解釈と定義において「当事者同士は至上の幸福を感じているものの、周囲の人間や客観的な視点、読者の倫理観から見れば救いようのない破滅や狂気に陥っている状態」を指します。たとえば、滅びゆく世界の中で二人きりの閉鎖空間に閉じこもり、笑顔で死を待つような構図が典型例です。
ここで混同されやすいのが、メリバとビターエンドの違いです。ビターエンド(ほろ苦い結末)は、主要な目的や大義は達成されたものの、大切な仲間を失ったり深い心の傷を負ったりして「悲哀や切なさが残る結末」を意味します。客観的にも主観的にも「痛みはあるが前に進む」という現実的な着地を見せるのがビターエンドであるのに対し、メリバは「当事者だけが閉じた世界で狂気的に満たされている」という倒錯した幸福感に重きが置かれます。主観的幸福と客観的破綻の乖離こそが、メリバを決定づける絶対的な基準です。