一方で、負の遺産とされてきた「公害」のイメージを払拭し、地域社会との新たな関係性を築く動きも活発だ。ブームとなった「工場夜景クルーズ」は、いまや一過性の観光資源を超え、産業遺産としての価値を再評価する動きへとつながっている。
週末になると、カメラを抱えた若者や家族連れが臨海部に集まる。企業側も敷地の一部を開放し、環境学習施設や緑地公園を整備するなど、閉ざされた空間だった場所を開かれたコミュニティスペースへと転換させている。産業と生活圏の物理的・心理的な距離を縮める試みが、各地で実を結びつつある。