リケラエマルジョンを使って「髪がバリバリになった」「手触りが悪化した」と訴える現象の背後には、毛髪科学の世界で知られる「プロテインオーバーロード(タンパク質の過剰沈着)」が関係しています。
元来、リケラエマルジョンに含まれるAEDSケラチンは分子構造的に毛髪へ強固に結びつく性質を持ちます。ブリーチ毛のようにケラチンが枯渇している髪にとっては命綱となりますが、キューティクルが比較的保たれている健康毛や、過剰なダメージがない髪に連日大量に使い続けると、髪の内部密度が飽和状態に達します。その結果、髪本来のしなやかな柔軟性が失われ、プラスチックのように硬化してゴワつきを感じるようになるのです。
「高価な専売トリートメントをたっぷり塗れば塗るほど美髪になる」という盲信は、ヘアケアにおける典型的な認知バイアスです。髪のコンディションが整ってきたら使用頻度を週2回程度に落とす、あるいは毛先の傷んだ数センチだけに塗布を絞るといった、状態を観察しながら引き算をする知性が求められます。