旅慣れていない観光客が最も陥りやすい落とし穴が、「オルゴールの手作り体験」の実施場所に関する誤解だ。手作り体験は、メルヘン交差点の本館内ではなく、本館から堺町通りを徒歩1分ほど進んだ場所にある別館「小樽オルゴール堂 ハンドメイド工房 遊工房」で実施されている。本館に飛び込んで体験を申し込もうとし、別棟へ案内されて時間をロスするケースが後を絶たない。
体験工房では、ベースとなる台座と好みの楽曲のメカを選び、ガラス小物やドライフラワーを自由にトッピングして自分だけのオリジナル作品を制作できる。ただし注意すべきは、接着剤が完全に硬化するまでに約30分の乾燥時間が必要な点だ。完成直後にすぐ持ち帰ることはできないため、先に遊工房でオルゴールを組み立て、乾燥を待つ間に本館の鑑賞や周囲のスイーツ店を巡るというのが無駄のない行程設計となる。
また、お土産選びにおいても押さえておくべきプロの視点がある。小樽オルゴール堂で販売されている商品には、大きく分けて「18弁」「23弁」「30弁」「50弁〜」といった内部メカニズムの違いが存在する。「弁」とは音を出す櫛状の金属歯の数を指し、弁の数が多くなるほど音域が広がり、演奏時間が長く、深みのある和音を奏でられるようになる。
旅の記念として配る手頃なお土産としては、手のひらサイズの「寿司オルゴール」や、小樽の特産であるガラス細工と融合した「天使のベルオルゴール」などが不動の人気を誇る。しかし、大切なパートナーへの贈り物や一生モノの記念品として選ぶのであれば、職人が手掛けた木製キャビネットに収められた23弁以上の高級オルゴールを強く推奨する。木の箱自体が共鳴胴の役割を果たし、安価なプラスチック製とは比較にならない奥行きのある響きを生み出すからだ。
購入時には、陳列されているサンプル品だけでなく、必ずレジで実物のネジを巻いてもらい、テンポやピッチ、雑音の有無を自分の耳で確認することが後悔を防ぐ絶対条件である。