充電消費に悩むユーザーの間で、長年にわたって信じ込まれている都市伝説がいくつも存在します。良かれと思って行っている操作が、実際にはバッテリーを激しく浪費させているケースが少なくありません。その代表例を検証します。
最大の誤解は、「マルチタスク画面でアプリを上にスワイプし、こまめに終了(タスクキル)させると電池が長持ちする」という迷信です。これは完全な誤りであり、Appleのソフトウェアエンジニアリング担当上級副社長クレイグ・フェデリギ氏も過去に明確に否定しています。iOSのバックグラウンドにある待機中アプリはメモリ上で完全に凍結(サスペンド)されており、電力をほぼ消費していません。むしろ、強制終了したアプリを再び立ち上げる際、ゼロからデータをRAMに展開し直すため、莫大なCPUパワーとバッテリーを余計に浪費します。常時動かすべきでないのはタスクキルではなく、バックグラウンドでのデータ交信そのものです。
そこで見直すべき設定が、iPhoneバックグラウンド更新オフです。「設定」>「一般」>「Appのバックグラウンド更新」を開き、SNSやニュースアプリなど、リアルタイムの更新が不要なアプリを個別にオフにするだけで、不要なセルラー通信や位置情報の取得を根本から遮断できます。また、「毎回100%まで充電しないと気が済まない」という習慣も要注意です。リチウムイオン電池にとって最も負荷が高いのは高電圧状態(90%〜100%)と完全放電(0%)であり、常に80%程度で給電を止める運用のほうが、化学的寿命を圧倒的に延ばすことができます。