現在でこそ充実した発信を続けるKIINA.ですが、かつて運用されていた公式アカウントの投稿が一斉に非公開・削除された際には、ファンの間に大きな動揺が走りました。一部では「体調悪化による完全引退か」「金銭トラブルによるSNS停止ではないか」といった真偽不明の憶測が飛び交いましたが、事実はまったく異なるものでした。
関係各所への取材や公式発表資料を精査すると、この投稿全削除は長年所属した大手芸能事務所からの独立と、個人事務所「KIIZNA」の設立に向けた戦略的リセットであったことが明らかになっています。四半世紀にわたり演歌界の頂点に君臨し続けた背景には、ファンや周囲の期待に応えるべく作り上げた「清く正しい好青年・氷川きよし」という巨大なパブリックイメージが存在していました。しかし、そのペルソナを守り続けることは、生身の自分自身を削り続ける作業でもありました。
2022年末の休業を経て、自らの力で舵を取る独立事務所を構えたタイミングで、過去のコンテンツを一度白紙に戻す選択をしたのは極めて必然的なプロセスでした。過去を否定するためではなく、「作られた虚像」に終止符を打ち、一人の表現者「KIINA.」として真っさらな大地に立ち上がるための通過儀礼だったのです。現在の公式アカウントは、外部の意向に左右されない、本人の魂が直接宿ったピュアな表現の場として完全に再定義されています。