かつては単なる心理的不安の現れや悪癖の象徴と見なされていた動作が、いまや医療現場で「ジグリング(Jiggling)」と呼ばれ、積極的なリハビリテーション手段として処方されています。発端となったのは、九州大学をはじめとする整形外科研究グループによる臨床報告です。
特に注目を集めているのが、変形性股関節症の保存療法としての有効性です。変形性股関節症は、加齢や関節の形状不適合によって股関節の軟骨がすり減り、激しい痛みや歩行困難を引き起こす疾患です。軟骨組織には血管が通っておらず、関節液(滑液)の循環によってのみ酸素や栄養素が供給されます。
小刻みに足を振動させるジグリングは、体重による強い圧力をかけずに関節面を適度に刺激し、関節液の循環を劇的に促進します。国内外の臨床試験において、毎日継続してジグリングを行った患者の関節軟骨の隙間が広がり、手術を回避できた症例が複数報告されています。切開手術や人工関節置換術をできる限り避けたい患者にとって、身体への負担が極めて少ない保存療法として確立されつつあります。