高橋ツトムの作家性を語る上で欠かせないのが、他の漫画家とは一線を画す特異な経歴 プロフィールです。1965年に東京都杉並区で生まれた高橋は、十代の青春期をリアルなストリートカルチャーの渦中で過ごしました。暴走族の一員として疾走した夜の空気感や、ギタリストとして打ち込んだロックバンド活動での皮膚感覚は、後の作品に色濃く反映されています。
その後、巨匠・かわぐちかいじ氏のアシスタントとしてプロの現場に入り、徹底した構図力、物語の緊張感を高めるコマ割り、プロフェッショナルとしての作画スピードを叩き込まれました。1989年に講談社『月刊アフタヌーン』の四季大賞佳作を受賞した『地雷震』で本格デビュー。感情を廃した冷徹な刑事・飯田響也のハードボイルドな造形は、当時の漫画界に強烈な衝撃を与え、瞬く間にトップクリエイターの地位を確立しました。