クラシック音楽を深く味わう上でも、あるいは自ら演奏する演目を選ぶ上でも、自分自身のスタンスに合わせた客観的な見極めが欠かせません。長年の演奏史と受容実態を踏まえた具体的な判断基準を以下に整理します。
本作の鑑賞・演奏に心から向いている人
- 自然の情景が目に浮かぶような標題音楽を好む人:風の音、波のうねり、岩肌の質感など、オーケストラの響きからヴィジュアルなイメージを想起して楽しみたい鑑賞者に最適です。
- 長大すぎる交響曲に気後れしてしまう人:10分前後という凝縮された時間の中で、提示部・展開部・再現部というソナタ形式のドラマを完璧に味わい尽くせます。
- 精緻なアンサンブルを磨きたい室内楽志向のオーケストラ:管楽器と弦楽器の対話、極小の音量でのテンション維持など、オケ全体の基礎力を底上げしたい団体にとって最高の教材となります。
鑑賞・演奏にあたって慎重な判断が必要な人
- マーラーやチャイコフスキーのような情念の爆発・感情過多を求める人:メンデルスゾーンの美質はあくまで古典的な節度と高貴な抑制にあります。情念をむき出しにしたドラマを期待すると、やや端正すぎて物足りなさを感じる場合があります。
- 個々の奏者のピッチやリズムの基礎力が不足しているアマチュア団体:スコアの透明度が高すぎるため、ごまかしが一切利きません。練習不足のままステージにかけると、破綻が目立ちやすいリスクを孕んでいます。