鼻と口が奥で繋がっているにもかかわらず、普段の食事で食べ物や飲み物が鼻へ入らないのは、口の天井奥にある軟口蓋(なんこうがい)が完璧なスイッチングを行っているためです。
口の天井を舌先で前から奥へなぞると、硬い骨の部分(硬口蓋)から、奥の柔らかい肉の部分(軟口蓋)へと変わる感触が分かります。私たちが食べ物や飲み物をゴクンと飲み込む瞬間(嚥下反射)、軟口蓋は反射的にキュッと持ち上がり、上咽頭の後壁に密着します。これにより、鼻腔と咽頭の間が一時的に完全遮断され、飲食物が鼻へ逆流するのを防ぐ「防波堤」の役割を果たします。
笑った瞬間に鼻から吹き出す理由と飲食時の誤嚥リスク
炭酸飲料やスープを飲んでいる最中に急に笑わされたり、不意に喋ろうとしたりすると、飲み物が鼻からツンとした激痛とともに吹き出してしまう現象が起きます。この正体は、「発声や笑いによる呼気」と「嚥下(飲み込み)」のタイミングの衝突です。
笑ったり声を出したりする動作は、肺から空気を勢いよく吐き出すため、軟口蓋が下がり鼻腔へのゲートが開いた状態になります。この瞬間に飲み込みの動作が重なると、口腔内の圧力によって液体が開放された上咽頭へ押し流され、鼻腔へと一気に逆流してしまいます。同時に、喉頭蓋の閉鎖も不完全になるため、気管側に液体が入り込む「誤嚥(ごえん)」を誘発し、激しいむせ込みを引き起こすのです。