かっこいい役職名を導入する際、ネット上で散見される誤った情報や、法務・実務上の盲点を把握しておく必要があります。
【誤解1:CEOを名乗れば、自動的に法的な代表権を持つ】
これは最も多い法的な誤解です。日本の会社法における正式な法的代表者は「代表取締役」または「代表執行役」です。登記上の代表権を持たない者が単に「CEO」を名乗っていた場合、対外的な重要契約の署名時に無効または追認手続きが必要となり、法務トラブルに発展するケースがあります。
【誤解2:英語表記は直訳すれば海外でも通用する】
日本語の「係長」を「Chief of Sub-section」、「主査」を「Senior Staff」などと直訳しても、英語圏のビジネス慣習では職務内容(Job Description)が伝わりません。海外企業とのやり取りでは、職能をダイレクトに示す「Account Executive(営業担当)」「Operations Specialist(業務推進)」などの機能ベースの表現を選ぶのが鉄則です。
【誤解3:新しい役職を増やすほど社員のやる気が上がる】
実質的な報酬や権限移譲を伴わない「肩書だけの昇格」は、従業員のモチベーション向上どころか、形骸化した組織構造を生み出します。権限規定が曖昧なまま役職名だけが乱立すると、責任の所在が不明瞭になり、重大なインシデント発生時に誰も責任を取らない「組織の無責任化」を引き起こします。