『好きな人がいること』が巻き起こした社会現象は、ストーリーの面白さだけに留まりませんでした。湘南・江の島エリアを中心としたロケ地カルチャー、そして元KARAの知英さんによるソロアーティスト名義「JY」が歌った主題歌は、作品の世界観を強固に形作りました。
劇中のメイン舞台となった海辺のレストラン「Sea Sons」のロケ地(神奈川県鎌倉市・藤沢市周辺の海岸線)や、江ノ電の極楽寺駅、稲村ヶ崎、江の島シーキャンドルには、放送中から現在に至るまで数多くのファンが「聖地巡礼」に訪れています。夏の青い空と海、夕暮れのグラデーションが織りなす映像美は、観る者に強烈なノスタルジーを植え付けました。
そして、オープニングを鮮やかに飾ったJYの主題歌『好きな人がいること』は、軽快なギターサウンドと等身大の乙女心を歌った歌詞が見事にマッチし、YouTubeのミュージックビデオ再生回数が億単位に迫る大ヒットを記録。TikTokなどのショート動画プラットフォームが黎明期から発展期へと向かう過渡期において、手振りダンスの元祖的な広がりを見せ、音楽チャートの首位を独占しました。
ファッション面でも大きなトレンドを生み出しました。桐谷美玲さんが劇中で着用していたサロペットやオーバーサイズの無地Tシャツ、ざっくりまとめた高めのお団子ヘア、そして機能性と上質さを兼ね備えたgenten(ゲンテン)などのレザーリュックは、「美咲コーデ」として20代女性を中心に大流行。動きやすく実用的でありながら抜け感のあるパティシエスタイルは、当時のカジュアルファッションの決定打となりました。