不動産市場を揺るがした売却方針の表明から、具体的な移行プロセスへと事態は一気に加速した。関係筋への取材で浮かび上がったのは、資産のオフバランス化にとどまらない大胆なオフィス機能の分散と集約である。これまで東京機能の中枢を一手に担ってきた汐留の拠点を解き放ち、品川や新橋、あるいは郊外のオープンイノベーション拠点へと機能を再配置する計画が進む。
なかでも多くの文化人やビジネスパーソンが息を呑んで注視しているのが、ビル内に居を構えるパナソニック汐留美術館の行方だ。名匠ジョルジュ・ルオーのコレクションをはじめ、建築やデザインに関する質の高い企画展で知られる同館は、企業の文化発信の砦として機能してきた。拠点の再編に伴い、展示スペースの移転やデジタルアーカイブの拡張など、都市型ミュージアムとしての新しい生き残り策が模索されている。