結論から言うと、通常のタイムズカーにおいて「自由な乗り捨て」は不可能です。予約画面で出発ステーションを選択した時点で、返却場所も同じステーションに自動固定されます。
なぜレンタカーでは当たり前に用意されている乗り捨てが、カーシェアでは頑なに制限されているのでしょうか。その背景には、法制度の壁とカーシェア特有のビジネスモデルが存在します。
第一の壁が、国土交通省が定める道路運送法や車庫法(自動車の保管場所の確保等に関する法律)に基づく規制です。レンタカー事業(自家用自動車有償貸出手続)では有人の営業所管理が前提となるため車両基地間の移動管理が認められやすい一方、無人で24時間稼働するカーシェアステーションは「特定の保管場所(定位置)」を前提に許可が下りています。乗り捨てを無制限に許可すると、車庫証明のない場所に車が滞留し、法的な保管基準を満たせなくなるリスクが生じます。
第二の壁が「車両の偏り(リロケーション)」に伴う莫大なコストです。仮に自由に乗り捨てを認めると、郊外から都心、あるいは住宅地からターミナル駅へと車が一方向に集中します。偏った車両を元の配置に戻すにはスタッフが1台ずつ陸送する必要があり、低価格・短時間利用を売りとするカーシェアの収益構造を一瞬で破壊してしまいます。国交省が主導した過去のカーシェア ワンウェイ 実証実験でも、再配置コストの採算性が最大の課題として浮き彫りになりました。