先発投手の年間計画において、最大の不確定要素となるのが屋外球場特有の「雨天中止」です。試合が流れた場合、ベンチには大きく分けて2つの選択肢が突きつけられます。本来投げるはずだった投手を翌日の試合にそのままスライド登板させるか、それとも登板を回避させて次回カードに回すかという決断です。
元投手コーチが明かした証言によると、「スライド登板は投手の肩や肘にとって見えない負担が大きい」と指摘されています。試合に向けて心拍数を上げ、ブルペンで肩を作り始めた段階で中止が告げられた場合、投手のメンタルと体内リズムは急ブレーキをかけられます。翌日に改めて同じ集中力を作り直すことは、想像以上のエネルギーを消費するのです。
特に中6日の登板間隔を厳密に管理している主力エースの場合、1日ずれることで次週以降の対戦相手や登板曜日がすべて狂ってしまいます。そのため、首脳陣は「エース格は無理にスライドさせず、中5日や中6日を崩さないために登板間隔を保って次回に回す」「谷間の投手や若手であれば翌日へスライドさせる」といった冷徹な計算式を当てはめます。このローテーション再編の機微を読むことこそが、コアな野球ファンの知的な楽しみとなっています。