トレーニング愛好家の間で頻繁に囁かれる「ライイングエクステンションをやっても腕が太くならない」という現象。この壁にぶつかる最大の要因は、上腕三頭筋の解剖学的特徴を無視した動作軌道にあります。上腕三頭筋は外側頭・内側頭・長頭の3つの筋頭で構成されていますが、腕の太さを決定づける筋腹の大部分は肩甲骨に付着している「長頭」が担っています。
多くのアマチュアトレーニーが陥っている典型的なミスが、「上腕を床に対して垂直(90度)に固定したまま、肘の曲げ伸ばしだけを繰り返す動作」です。バーを真上に押し切ったトップポジションでは、負荷のベクトルが腕の骨を通り抜けてベンチに逃げてしまい、筋肉への緊張が完全に消失します。いわゆる「負荷の抜け」と呼ばれる状態です。
さらに、肘を真上に向けたままだと長頭が十分に引き伸ばされず、関与度が著しく低下します。腕を物理的に太くするためには、上腕を頭側に約15〜20度倒した状態をスタートポジションとし、常に上腕三頭筋に斜め方向の張力がかかり続けるポジショニングを保たなければなりません。これを知らずに何百レップ重ねても、ターゲット部位への刺激は半分以下に目減りしてしまいます。