大政翼賛会が国民の日常生活に与えた影響は甚大でした。組織は単なる中央の政治機構にとどまらず、社会の全階層を網羅する傘下団体・連動組織を整備していきました。
1. 隣組(となりぐみ)制度を通じた相互監視と物資配給
各市町村の町内会・部落会の下に、5戸〜10戸程度を単位とする隣組制度が制度化されました。隣組は配給切符の配布や防火訓練、出征兵士の見送りといった実務を担う一方、住民同士の言動や思想をチェックする相互監視の機能を持ちました。当時の庶民の日記には、「隣組の常会で不満を漏らせば、即座に非国民として警察に通報される息苦しさがあった」と記されています。
2. 大日本産業報国会による労働者の軍事動員
労働組合はすべて解散させられ、工場や事業所ごとに労使一体で国策に奉仕する大日本産業報国会(産報)に再編されました。「事業一家」「労使無差別」のスローガンのもと、労働者のストライキ権や待遇改善要求は完全に封殺され、軍需物資の増産へと労働力が強制配分されました。
3. 大政壮年団による地方エリートの統制と教化
青年層と壮年層の指導的リーダーを結集した大政壮年団は、翼賛運動の実働部隊として地方行政や警防団活動を牽引しました。地域社会の有力者や青年団幹部を取り込むことで、反体制的な運動が芽吹く土壌を徹底的に排除したのです。