意気投合した両社は、単なる友好関係にとどまらず、強固なアライアンスを構築しました。ハードオフコーポレーションが新潟や北陸・東北エリアでブックオフのFC加盟店を展開する一方、ブックオフ側も首都圏などでハードオフのFC加盟店を出店・運営するという、極めて稀有な「相互FC出店」のパートナーシップを結んだのです。互いに株式を持ち合い、資本提携も締結され、店舗を隣接して出店することで「本を売りに来た客が家電を見て、家電を売りに来た客が本を買う」という抜群の相乗効果を生み出しました。
しかし、時代の変遷とともにリユース市場は巨大化し、両社の経営環境に変化が生じます。2000年代後半から2010年代にかけて、スマートフォンの普及やフリマアプリの台頭により、リユース業界全体に「総合リユース化」の波が押し寄せました。
ブックオフは本やゲームの需要減退を補うため、アパレルや大型家電、ブランド品を丸ごと買い取る「BOOKOFF PLUS」や「BOOKOFF SUPER BAZAAR」といった大型複合店舗の展開を加速させました。これにより、自社の旗艦店でハードウェアや白物家電を直接扱うようになり、ハードオフの事業領域と正面衝突する局面が増加していったのです。
結果として、かつての相互補完関係は徐々に競合関係へと変貌を遂げました。東証一部(現プライム)への上場企業として独立したガバナンスと株主への説明責任が求められる中、両社は経営の自立性を高める道を選択します。2010年代半ばにかけて、持合株式の売却が進められ、フランチャイズ契約も順次円満に整理・解消されました。ブックオフが運営していたハードオフ店舗は看板を掛け替えるか直営に引き継がれ、ハードオフが運営していたブックオフ店舗も独立運営へシフトしました。
現在、両社の間に直接的な資本関係はなく、業務上の契約関係も原則として解消されています。しかし、それは決して泥沼の対立による決裂ではなく、互いのビジネスが成熟し、自立した上場企業としてそれぞれの強みを極めるための「発展的解消」であったといえます。