下処理を終えた稚貝のポテンシャルを最もダイレクトに味わえるのが、日本料理の基本である味噌汁と酒蒸しだ。しかし、ただ煮立てるだけでは身が縮こまり、硬くなってしまう。
味噌汁にするなら、水と昆布を入れた鍋に最初から稚貝を投入し、弱めの中火でゆっくり温度を上げていく。沸騰直前に貝の口が開いたら、すぐに弱火に落として味噌を溶き入れる。貝から溶け出た濃厚なアミノ酸が白濁したスープを作り出し、余分なダシ入り調味料など一切不要な極上の一杯が完成する。
一方、海鮮料理の王道である酒蒸しはスピード勝負だ。フライパンに稚貝を並べ、酒を回し入れたら強火でフタをする。蒸気が立ち上り、貝がパカパカと開き始めた瞬間に火を止めて余熱で仕上げる。仕上げにほんの少しの醤油と無塩バターを落とせば、コクと香ばしさが重なり合い、箸が止まらないご馳走に化ける。