東京藝術大学の難易度を語る際、一般的な大学受験の物差しである「偏差値」だけではその過酷さを測りきれません。共通テストを利用する学科試験のボーダーラインは概ね65%〜80%前後に設定されていますが、合否の決定打となるのは配点の大部分を占める過酷な実技試験です。
東京大学の全学平均倍率がおよそ3倍前後で推移しているのに対し、東京藝術大学の倍率は専攻によって桁違いの数値を示します。とりわけ美術学部絵画科油画専攻やデザイン科では実質倍率が15倍〜20倍を超える年が珍しくありません。募集定員わずか数十名の枠をめぐり、全国から選び抜かれた猛者が何年も浪人を重ねて集結します。
東京芸術大学の浪人率が高い最大の理由は、ペーパーテストのように「正解が1つではない」点にあります。予備校でテクニックを完璧に仕上げても、試験官の心を揺さぶるオリジナリティがなければ弾き落とされる世界です。合格者が「運と縁も味方につけなければ受からない」と口を揃える背景には、研ぎ澄まされた実力者同士の紙一重の争いがあります。