2009年秋、テレビから突如として流れてきたアッパーなビートと、耳にこびりつく強烈なリフレインは、当時の視聴者に凄まじい衝撃を与えました。その震源地となったのが、江崎グリコ「ポッキー」のテレビCMです。
CMキャラクターに起用されたのは、当時第11回全日本国民的美少女コンテストで審査員特別賞を受賞し、新進気鋭の若手女優として脚光を浴びていた忽那汐里でした。彼女が学校の屋上や教室でポッキーの赤いパッケージを手に持ち、全身全霊で激しく弾ける姿は、放映直後から「あの可愛い女の子は誰だ」「見ていて元気が出る」と爆発的な反響を呼びました。
視覚的なインパクトを決定づけたのが、ダンスの振り付けです。手掛けたのは、独創的な演出で業界を牽引するトップクリエイター集団振付稼業air:man。ポッキーを持って手を前後に素早く振るシンプルな動作から、身体全体をバウンドさせるダイナミックなステップまで、誰でも一度見れば真似したくなるポップな動きが計算し尽くされていました。
当時、スマートフォンの普及初期でありながら、学校の放課後や文化祭、部活動の合間に生徒たちがこのダンスを真似て踊る動画がネット上に無数に投稿され、いわば現代のショート動画ブームの先駆けとも呼べる草の根のバイラル現象が発生。広告関係者の間でも「タイアップ楽曲とタレント、商品、振付がこれ以上ないレベルで融合した奇跡的なマーケティング事例」と高く評価され、発売と同時に楽曲を社会現象へと押し上げる決定打となったのです。