本作を語る上で避けて通れない最大の特異点が、一度公開されたエピソードを後から丸ごと差し替えるワンパンマンリメイク加筆修正の凄まじさです。一般的な商業漫画では考えられないこの事態について、ワンパンマン描き直し理由は大きく2つの要因に集約されます。
第1に、単行本という物理メディアへ収録する際の構成再設計です。Web連載版では読者の熱量を維持するためにアクションを最優先した展開を描いたものの、いざ単行本1冊にまとめた際、ページ配分や後の伏線との噛み合わせに歪みが生じることがあります。ONE氏と村田氏は長期的なシリーズ構成を見据え、違和感を抱いたエピソードを過去に遡って修正・破棄する決断を幾度となく下してきました。「童帝 vs フェニックス男」の死闘や「サイコス」との戦闘シーンが何度も別ルートへ書き直されたのはその典型です。
第2に、村田雄介氏自身のX(旧Twitter)進捗報告に代表される、過剰なまでの職人魂です。村田氏は制作期間中、「本日のノルマはペン入れ7枚」「本日合計10枚完了」といった驚異的な作業進捗を連日ファンへ公開しています。その圧倒的な仕事量にもかかわらず、ワンパンマン休載理由として発表されるものの多くは、物語の整合性を高めるための「ネーム練り直し」や「既存カットの全面リテイク」です。締め切りに追われて原稿を落とすのではなく、納得のいかないクオリティのまま印刷に回すことを拒否する作家のエゴと熱意が、更新スケジュールの遅延を引き起こしています。