現在の三菱電機の株価形成において、最もホットな材料が「防衛装備品」と「パワー半導体」の2大テーマです。これらは株価を押し上げる強烈な起爆剤であると同時に、時に投資家の過度な期待を裏切る諸刃の剣としても作用しています。
まず防衛分野において、三菱電機は防衛省向けレーダー、ミサイル誘導装置、通信ネットワークシステムで国内トップシェアを誇ります。政府の防衛力抜本的強化方針に沿って防衛関係予算が拡大したことで、同セグメントの受注残高は歴史的な水準へ積み上がりました。公共性の高いビジネスであるため利益率の急激な跳ね上がりこそ望めないものの、景気後退局面でも絶対に需要が消えない「鉄壁のキャッシュフロー」として機能しています。掲示板では「防衛特需ですぐに利益が倍増する」といった極端な言説も見受けられますが、防衛調達は検収ベースで複数年にわたり計上されるため、じわじわと効いてくる遅効性の薬であることを理解しておく必要があります。
一方のパワー半導体は、電気自動車(EV)や産業用ロボット、再生可能エネルギーインフラに不可欠な基幹部品です。特にSiC(炭化珪素)パワー半導体において、三菱電機は世界屈指のモジュール技術と高歩留まりを誇ります。熊本県合志市の新工場稼働など大型投資が結実しつつあり、グローバルな省エネ規制強化を追い風に、競合他社を突き放す体制を整えています。しかしながら、世界的なEV販売の成長鈍化や価格競争といったノイズに直面するたび、市場が過敏に反応して株価を揺さぶる点には留意が必要です。