今や誰もが知るこれらの名フレーズだが、実は最初から計算し尽くされて生まれたものばかりではない。多くは舞台上のハプニングや、舞台裏での何気ないやり取りから誕生している。
例えば、すっちーの「乳首ドリル」は、もともと楽屋でのたわいもないイタズラが発端だった。吉田裕のリアクションの良さに目をつ打ったすっちーが、稽古場で小道具の棒を使って叩くタイミングを少しずつ変えて遊んでいたところ、偶然あの独特のリズムとフレーズが完成。舞台で試してみた初日、客席が揺れるほどのウケを見せたことで、不動の看板ギャグへと成長した。
また、辻本茂雄の茂造フレーズも、連日の超ハードな公演スケジュールの中で生まれたアドリブがきっかけだという。台本通りに進まないハプニングが起きた際、とっさに場を収めるために口をついて出たのが「許してやったらどうや」のフレーズ。共演者の素のリアクションを引き出すために仕掛けた「悪ふざけ」が、観客の心に強く刺さり、定番化していったのだ。生の舞台だからこそ生まれる奇跡の瞬間が、新喜劇の歴史を形作っている。