長年のブランクを経て、彼女が再び銀幕へと戻ってきた作品が、山田洋次監督の記念すべき映画『男はつらいよ お帰り ア寅さん』であった。23年ぶりとなる映画出演、そして「及川泉」というハマり役の再演は、日本の邦画界において大きなニュースとして報じられた。
復帰を決意するまでには、並々ならぬ葛藤があったという。ブランクに対する不安や、海外での生活習慣から再び日本の撮影現場の空気感に適応できるかという懸念。しかし、山田監督からの熱烈なオファーと、亡き渥美清さんへの想いが彼女の背中を押した。劇中で見せた洗練された演技と圧倒的な存在感は、ブランクを一切感じさせず、作品全体に深い奥行きを与えた。この復帰作をきっかけに、彼女の演技者としてのポテンシャルが改めて再評価されることとなった。