なぜ、カロリー制限を守っているのに変化が止まるのか。最新の代謝研究が明かす理由はシンプルだ。身体が「飢餓状態」だと判断し、省エネモードへとシステムを緊急切り替えてしまうからである。
成人の基礎代謝量(呼吸や心拍など、生きているだけで消費する最低限のエネルギー)は、性別や骨格、筋肉量によって大きく異なる。成人男性であれば1400〜1600kcal、活動的な女性でも1200〜1400kcal程度がベースラインとなる。もし基礎代謝量を下回る、あるいはそれに極めて近いレベルで極端な制限を続けると、甲状腺ホルモンの分泌が低下し、体温が下がり、非運動性熱産生(NEAT)と呼ばれる無意識の動作による消費カロリーまで自動的に削られていく。
つまり、1500という数字は「誰にとっても安全な万能数字」ではない。ある人にとっては過酷すぎる飢餓ラインであり、別の人にとっては維持カロリーに過ぎない。個人の適正値を見誤った制限は、代謝エンジンそのものを縮小させるリスクをはらんでいる。