堺の代名詞として語られることが多いのが、圧倒的な情報量とスピード感を伴う長台詞だ。『リーガル・ハイ』で見せた怒涛の弁舌は、早口でありながら一言一句が完璧に聞き取れ、かつ感情の機微を損なわないという高難度の技術に支えられていた。だが、彼の演技の真骨頂は実は言葉が途切れた「無音の間」にこそ潜んでいる。
カメラが寄る数秒間、眼球のわずかな動きや呼吸の浅深だけで、登場人物が抱える葛藤や裏の顔を語ってしまう。言葉で説明し尽くすのではなく、観客の想像力に空白を差し出す贅沢さ。台本を徹底的に読み込み、キャラクターのバックボーンを血肉化させた者だけが到達できるその領域は、共演者や監督たちからも畏怖の念をもって語られる。