オセロ症候群は、若いカップルの問題だけにとどまらない。実は、中高年期以降の脳疾患や薬剤の副作用として発症するケースが非常に多いことがわかっている。
特に注視されているのが、アルツハイマー型認知症や前頭側頭型認知症の初期症状としての「物取られ妄想」ならびに「浮気妄想」だ。脳の抑制機能や感情コントロールを司る前頭葉の機能低下により、長年連れ添った配偶者に対する不信感が唐突に噴出することがある。また、パーキンソン病の治療に用いられるドパミン受容体作動薬などの薬物療法において、副反応として報酬系神経回路が過剰刺激され、妄想性嫉妬やギャンブル中毒様症状が引き起こされる事態も報告されている。高齢親の急激な言動の変化には、単なる老いではなく神経学的な要因が潜んでいる可能性を考慮しなければならない。