昭和の映画史に燦然と輝く伝説のスター、松田優作。彼が遺した強烈なリアリティと圧倒的なカリスマ性は、間違いなく息子たちの血の中に脈々と流れている。しかし、彼らが凄まじいのは、偉大すぎる「松田優作の息子」というラベルに押し潰されることなく、それぞれがまったく異なるアプローチで役者としての地位を築き上げた点だ。
兄の龍平は、画面に佇むだけで独特の空気感を醸し出す天性のニュートラルさを持つ。一方の翔太は、緻密に計算された立ち振る舞いとシャープな感性で役を自分のものにしていく。幼少期に父を亡くした二人は、成長の過程で互いの背中を見つめ合ってきた。兄弟でありながら、演技の方向性が異なるからこそ嫉妬や無駄な競い合いがなく、一目置く対等なプロフェッショナルとしての絆が育まれたのだ。