物事の真理は、その対極にある概念と比較することでより鮮明になる。「怒涛」の対義語として最もふさわしいのは「凪(なぎ)」や「静寂」、あるいは「平穏」といった言葉だろう。風が止み、鏡のように静まり返った海面は、荒れ狂う怒涛とは対極の無音の世界である。
類語としては「猛烈」「怒涛の如く」「破竹の勢い」「圧倒的」などが挙げられるが、これらの中でも「怒涛」だけが持つ独特のニュアンスは、「連続性」と「逃れられない包囲感」だ。単発の衝撃ではなく、次から次へと連続して押し寄せる波のイメージが、現代人の置かれた怒涛の状況を何よりも的確に描写している。