「単に体を洗う場所ではなく、滞在の目的そのものが風呂にある」――そう指摘するのは、国内外の滞在型リゾートを牽引する星野リゾートの代表、星野佳路氏だ。地域の風土やストーリーを織り込んだ独自の空間デザインは、旅の目的地としての価値を飛躍的に高めている。
一方、ホテル評論家の瀧澤信秋氏も、近年の宿泊動向について「大浴場のスペックがホテルの評価を直接左右する時代」と分析する。単なる大浴場の存在にとどまらず、泉質のこだわり、外気浴スペースの有無、混雑状況を部屋のTVからリアルタイムで確認できるスマートシステムなど、ハードとソフトの両面における進化が止まらない。
日本国内の観光業が目覚ましい回復と進化を遂げるなか、ゲストが求める癒やしの水準は天井知らずで高まっている。かつての「おまけ施設」から、旅の第一目的へと昇華した温泉や大浴場の存在感は増すばかりだ。