日本で買える靴下のうち、国産品の約6割がどこで作られているかご存じだろうか。答えは奈良県だ。とりわけ奈良県広陵町を中心としたエリアは、明治時代から紡いできた靴下づくりの歴史を持つ一大産地である。日本ニット靴下工業組合の統計を見ても、その圧倒的なシェアとクオリティの高さは他の追随を許さない。
この地で培われてきた職人の技に惚れ込み、二人三脚の歩みを始めたのがタビオ株式会社の創業者、越智直正氏だった。「靴下は第二の皮膚」と言い切る彼は、効率至上主義の機械生産を拒み、奈良の熟練職人たちと徹底的に向き合った。糸にかかる微妙なテンション、編み機の微細な調整、季節の湿度変化による糸の伸縮の違い。職人が指先の感覚と長年の経験で見極めるコンマ数ミリのこだわりが、極上のソックスを支えている。