「月曜日、りんごをひとつたべました」。このあまりにも有名なフレーズとともに描かれる真っ赤な果実。実は、制作当初の構図において「最初に食べる食べ物」は決して確定していたわけではなかった。作者であるエリック・カールが遺した初期ノートによると、物語のスタートラインにふさわしい存在として選ばれたのが、生命力と普遍的な愛らしさを象徴する果物だったのだ。
さらに興味深いのは、絵本に穴をあける特殊な製本技法だ。当時のアメリカの印刷所は「ページに穴をくり抜くコストが高すぎる」とこぞって難色を示した。そこで救世主となったのが日本だった。日本の印刷技術が高く評価され、妥協を許さない製法が実現したことで、子どもたちが指を差し込んで楽しめる革新的な体験が生まれた。月曜日の果実に開けられた穴は、日米の技術と情熱が結びついた結晶と言える。