ロケットの発射中継を見ていると、機体は空高く垂直に上昇していくように見えます。しかし、JAXAやNASAの打ち上げテレメトリデータを分析すると、垂直に上昇するのは大気圏の最も濃い層を一刻も早く突破するわずか数十秒間に過ぎません。
高度数十kmを過ぎると、ロケットは機体を徐々に横へと倒し、地球の自転方向(東向き)へ向けて猛烈な水平加速を開始します。ロケットの燃料消費の大半は「高度を稼ぐため」ではなく、「水平方向に秒速7.9kmのスピードをつけるため」に使われているのです。
地上約400kmを周回する国際宇宙ステーション ISS 速度は秒速約7.66km。地表すれすれよりも地球中心からの距離 $R$ が長くなるため、数式 $v = \sqrt{GM/R}$ の分母が大きくなり、必要な速度は秒速7.9kmからわずかに下がります。それでも時速にすれば約27,600kmであり、宇宙飛行士たちは約90分ごとに昼と夜を迎えながら地球を1周しています。