模型愛好家のコミュニティや購入者の証言を深掘りすると、高額なヴィンテージキットを手に入れた者が直面する厳しい現実が浮き彫りになります。
ネットオークションで3万円超を投じて当時物キットを落札した50代モデラーは、模型誌の取材や愛好家の手記の中で次のように語っています。
「落札通知が届いた時の高揚感は凄まじかった。しかし、届いた箱を開けた瞬間、押し入れ特有のカビ臭とともに、黄色く変色しひび割れた水転写デカールを見て背筋が凍りついた。結局、パーツにハサミを入れる勇気が出ず、そのまま棚の奥へしまい込むことになった」
製造から数十年が経過した絶版キットは、スチロール樹脂の経年脆化、ゴムタイヤパーツの油分抜けやホイールへの癒着、デカールの水溶性糊の死滅といった「素材寿命の限界」に直面しています。コレクションとして箱を眺めるだけなら満たされますが、「組んで飾る」目的で購入したファンにとっては、高額投資に見合わないリスクを背負うことになります。