落語家としての活動が本格化するにつれ、定期的にネット上を賑わせたのが方正の「ガキ使」降板の噂でした。しかし、結論から言えば完全な事実誤認です。番組初期から続く「山崎卒業ドッキリ」という定番企画のインパクトが強すぎたこと、さらに関西での高座が増えたことで東京での収録スケジュールを調整した事実が、尾ひれをつけて「番組降板」という形で流布したのが実態です。
そして、年末特番『笑ってはいけない』シリーズの象徴であった蝶野ビンタの真相にも、計算され尽くしたプロフェッショナル同士の信頼関係が存在します。プロレスラー・蝶野正洋が放つ重い掌打を、一切の防具なしで受けるこの演出について、舞台裏では入念な打ち合わせが行われていたわけではありません。
蝶野正洋本人が後年の対談で明かしたところによると、「方正さんの怯える表情、理不尽に対する必死の弁明、そして打たれた後の完璧なリアクションがあるからこそ、あのくだりは成立していた」と最大級の賛辞を送っています。受ける側の方正も、恐怖で本気で震えながらも、カメラのアングルや笑いの間合いをミリ単位で計算していたと証言されています。視聴者が「本気で嫌がっている」と感じる極限のリアルこそ、彼が培ってきた超一流のバラエティ技術でした。