MLBの伝統である7回表終了後の「セブンス・イニング・ストレッチ」。観客全員が立ち上がり体を伸ばすこの時間、ドジャースタジアムでは単に古風な『私を野球に連れてって(Take Me Out to the Ball Game)』を流すだけにとどまりません。ファンの間でもたびたび話題にのぼるドジャース 7回裏 応援歌の演出には、この球場ならではの強烈なこだわりが宿っています。
多くのファンから「あのスタジアムで流れる高揚感あふれるロックは何か」と問い合わせが寄せられる代表格が、ジョン・フォガティの『Centerfield』です。「Put me in, Coach - I'm ready to play today」というフレーズで知られるこのナンバーは、野球少年の純粋な魂を呼び覚ますメロディとしてスタンドの一体感を急上昇させます。また、往年のロックアンセムが畳みかけるようにミックスされ、終盤の反撃に向けたボルテージを一気に最高潮へと導きます。
そして、スタジアムの音響体験を語るうえで絶対に外せない存在が、専属オルガニストのディーター・ルーレ(Dieter Ruehle)氏です。ドジャースタジアム オルガン曲の魅力は、単なる伝統的なチャージフレーズの演奏にとどまりません。ルーレ氏は最新のポップスやヒップホップ、クラシックロックはもちろん、『ゼルダの伝説』や『スーパーマリオ』といった世界的人気ゲームのBGM、さらには映画のスコアまで、試合の戦況に合わせてリアルタイムかつ即興で演奏を繰り広げます。
ピンチの場面では緊張感を煽る旋律を奏で、相手投手が牽制球を投げればユーモラスな音階で牽制をいなす。この一瞬の機転を利かせた生演奏が、現地観戦はもちろんテレビ中継の視聴者にも「いま、スタジアムで何が起きているのか」を直感的に伝達する極上のスパイスとなっているのです。