彼女の名を決定的に知らしめた作品といえば、河瀬直美監督の映画『朝が来る』を外すわけにはいかない。望まぬ妊娠によって幼くして我が子を手放すことになった少女・片倉ひかり役。重厚かつ濃密なヒューマンドラマの極限状態で、彼女が見せた演技は「言葉を失うほどの迫真性」と絶賛された。役作りのために撮影前から実際にその場所で暮らし、役に生きた時間は、スクリーン越しに観客の胸を強く打った。
この名演によって、第44回日本アカデミー賞新人俳優賞をはじめ、数々の主要映画賞を受賞。授賞式の壇上で見せた凛とした立ち姿は、日本映画界の未来を担う新たな才能の芽吹きを強く印象づけた。単なる悲劇のヒロインにとどまらず、人間の愚かさや愛おしさ、再生への祈りを一目で表現できる演技力は、すでにこの時点で完成の域に達していたと言える。