日本の二大巨頭である愛媛県・今治と大阪・泉州。この両者には、タオルの性格を180度分かつ製法上の明確な哲学が存在する。クリエイティブディレクターの佐藤可士和氏が手掛けたリブランディング「今治タオルプロジェクト」により、今治タオル工業組合の品質基準は世界的な認知を得た。その象徴が、水に浮かべて5秒以内に沈み始めるかを問う独自の吸水基準だ。
今治の真骨頂は「先晒し・先染め」にある。糸の段階で瀬戸内海の清らかな軟水を用いて徹底的に不純物を洗い落とし、先に染め上げてから繊細に織り上げる。これにより、ふっくらとボリュームのあるリッチな風合いと、鮮やかな織り柄が生まれる。
対する泉州タオルは、約130年の歴史を誇る「後晒し(あとざらし)」製法を貫く。タオルを織り上げた後で、糸に付着した糊や天然の油分を大量の水で洗い落とすのだ。工場から出荷された瞬間から抜群の吸水性を発揮し、使い始めの独特の清潔感と軽やかさは泉州ならではの強みである。重厚で包み込まれるような今治か、軽快で清潔無比な泉州か。産地の水と歴史の違いが、そのまま肌触りのドラマを生み出している。