この数百年にわたる「血の掟」を根底から解体したのが、1992年に施行された暴力団対策法(暴対法)と、その後に全国で整備された暴力団排除条例である。警察庁は組織の資金源だけでなく、反社会的勢力の可視化を徹底的に進めた。その結果、左手の欠損は自ら「私は暴力団関係者です」と周囲に宣告する動かぬ証拠となってしまった。
現在、指を欠損している人物は銀行口座の開設、クレジットカードの発行、賃貸住宅の契約、さらにはホテルの宿泊に至るまで、社会生活のあらゆる場面で厳しい審査と排除の対象となる。かつては組織内での「男の勲章」や「不始末を帳消しにした証」であった欠損が、現代社会では身動きを封じる致命的な首枷へと暗転した。