荒ぶる魂で平成の土俵を席巻した第68代横綱・朝青龍明徳。そして、前人未到の幕内最高優勝45回という金字塔を打ち立てた第69代横綱・白鵬翔。歴代最強の座をめぐる議論において、この二人の名前を外すことはできない。
朝青龍がもたらしたのは、スピードと獣のような闘争心だった。相手の胸に鋭く突き刺さり、電光石火の投げでねじ伏せる。土俵上の鬼気迫る形相と歯に衣着せぬ言動は、従来の「横綱像」という枠組みを粉々に打ち砕いた。保守層からの激しいバッシングを浴びながらも、圧倒的な勝率でアンチを黙らせる姿は、まさに土俵の暴れん坊そのものだった。
対照的に、白鵬は日本相撲の真髄を極限まで研究し尽くしたリアリストだった。相手の出方を見極めてから仕留める「後の先」を体現し、右四つからの盤石な寄り、鋭い張り差し、計算し尽くされた立ち合いで勝利を積み重ねた。朝青龍の破壊力と、白鵬の無敵の要塞。タイプこそ真逆だが、この二人が大相撲の歴史を塗り替えた最高到達点であることは揺るぎない事実だ。