地方都市における公立図書館や図書室の維持は、長らく予算削減と利用者減少の二重苦に苛まれてきた。しかし、ここでの光景は全く異なる。朝の開館と同時に、地元のお年寄りが新聞を広げ、午後は学校帰りの小中学生が学習スペースに吸い込まれていく。夕刻になればリモートワークに励む社会人がパソコンを開く。
特筆すべきは、館内に漂う独特の「心地よい雑音」だ。静寂を強制するのではなく、会話が生まれるゾーンと集中するゾーンをゆるやかに区切る設計がなされている。本を媒介にしたコミュニケーションが自然発生する仕掛けが、空間の隅々にまで張り巡らされているのだ。