スケッチブックにマジックペンで世相を切り裂く「フリップ芸」は、いまや球界の風物詩となった。政治家の不祥事、芸能人の電撃結婚、他球団の主力選手の移籍劇、さらには自球団の経営陣への生々しい要求まで、一切の手加減なしで投下される。この毒舌スタイルが成立する理由は、単なる悪ふざけではなく、緻密な計算と深い野球愛、そして絶妙なバランス感覚に裏打ちされているからに他ならない。
炎上すれすれの際どいラインを見極める観察眼は、球界の構造やメディアの力学を知り尽くしたプロフェッショナルの仕事である。試合前のセレモニーで相手チームの選手をいじりつつも、最後には必ずリスペクトを示す所作を忘れない。その人間味あふれる機転が、どれほど過激なメッセージを掲げても周囲から許され、愛される要因となっている。