結論から言えば、現場で実務を取り仕切っていたマンション事業本部の担当部長や現場責任者たちは、法的な意味での「懲戒解雇(クビ)」にはなっていない。積水ハウス株式会社が事件後に公表した調査報告書および社内処分において、直接関与した社員に下されたのは減給や降格、譴責といった社内規定に基づく懲戒処分にとどまる。
巨額の特別損失を出したにもかかわらず、なぜ即座にクビにならなかったのか。背景には日本の労働法における解雇権濫用法理の厳しさがある。重大な過失があったとはいえ、彼ら自身が地面師グループと結託して私腹を肥やした背任の証拠が立証されない限り、民事上の過失だけでサラリーマンを懲戒解雇することは極めてハードルが高い。結果として、現場担当者たちは出世の道を断たれ、閑職への異動や事実上の降格を受け入れながら社内に留まるか、あるいは居場所を失って自ら会社を去る「依願退職」という形を取らざるを得なかった。