日本の古都を捉える眼差しには、偉大な先人たちが築き上げた分厚い文脈が存在する。昭和の写真界の巨人・土門拳が放った『古寺巡礼』の鬼気迫るディテール描写は、今なお寺社建築に対峙するすべての撮影者の原点だ。木肌の節、苔むした礎石、仏像の指先の陰影——彼は光と影の彫刻として古都をフィルムに焼き付けた。
一方で、動物写真家として名高い岩合光昭が捉える京都の猫や街角の日常は、歴史が人々の暮らしの延長線上にあることを思い出させてくれる。さらに、川端康成の名作を映像化した映画『古都』が描き出した陰翳礼讃の色彩美は、日本の伝統的な風景写真の美意識を決定づけた。私たちは無意識のうちに、それら先達が切り拓いた美の構図を追体験しているのだ。