現場従事者の手記や退職者のアンケート調査、現場ヒアリングから見えてくるのは、極限状態での判断が求められる過酷な労働実態と、それに見合う強烈な職業的充足感の両面です。
心肺停止状態の傷病者に対し、アドレナリン投与や気道確保を行い、病院到着前に心拍再開(ROSC)を果たした瞬間の達成感は、他の職業では得がたいものがあります。また、傷病者の家族から直接感謝の言葉をかけられる瞬間は、多くの現役救命士が挙げる最大のやりがいです。
反面、24時間勤務(当直体制)による体内時計の乱れ、救急要請件数の高止まりによる仮眠不足、悲惨な事故現場や終末期現場での心理的ストレス(PTSDリスク)、さらには現場での暴言・暴力リスクなど、身体的・精神的負荷の高さは看過できません。近年は自治体・医療機関ともにメンタルヘルスケア体制の構築が急務とされています。
【プロの結論】救命救急士を目指すべき人・慎重になるべき人の判断基準
救命救急士として長期的に活躍できる人材には、明確な適性特性が見られます。自身の資質とキャリア設計を照らし合わせた客観的な判断が不可欠です。
【目指すべき適性を持つ人】
- 予期せぬトラブルや突発的事態に直面しても、感情を切り離して論理的・優先順位に沿った判断ができる人
- 医師、看護師、警察官、傷病者家族など、利害や立場が異なる関係者と円滑に意思疎通できる高いコミュニケーション能力を持つ人
- 夜勤や不規則なシフト勤務に耐えうる基礎体力と、自己の健康管理を徹底できる規律性を持つ人
【進路選択に慎重になるべき人】
- 現場の悲惨な光景や患者の死を私生活まで引きずりやすく、感情のオン・オフが苦手な人
- 「公務員=デスクワークで安定している」というイメージのみを動機としており、医療行為に伴う重い法的・倫理的責任に耐える覚悟がない人
- 日進月歩のプレホスピタル医学に対応するための継続的な学習・訓練を負担に感じる人